【おべんきょ情トラ】身につくロースクール/商法4/目的物の検査及び瑕疵の通知義務の具体的運用

■あくまで個人的なまとめを掲げています*1


 民法においては、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、その瑕疵を知って時から1年以内に瑕疵担保請求をすればよい(民法570条により準用する566条)。しかし、商法においては、商人間の売買では、買主は目的物を受領したときに遅滞なく検査し、これに瑕疵又は数量不足を発見した場合は遅滞なく売主にその旨を通知しなければ、その瑕疵又は数量不足を理由とした契約解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求ができないとし、目的物に直ちに発見できない瑕疵がある場合は買主が6箇月以内にその瑕疵を発見・通知できなければ、瑕疵担保請求ができないと定められている(商法526条)。
 これは、商人間の売買が大量かつ反復的に行われること、また、買主である商人は目的物を専門的知見に基づき検査できることを前提として、売主保護のため早期に取引関係を確定するための特別規定とされる。


 ただし、具体的に考えたときには、今日における大量の商品の流通、製品の複雑化等を鑑みると、必ずしも買主である商人が、十分に目的物を専門的知見に基づき検査できるとはいえない面がある。このような場合においては、この買主が瑕疵を発見できなかったというミスと、そのミスにより失う利益との均衡が著しく欠けることもありうるのであって、この規定を画一的に適用するのではなく、個別具体的な状況を考慮したうえで、売買当事者間の衡平を判断する必要があるともいうことができよう。

*1:このまとめは、【情トラ】が作成したものであり、その内容については無保証ですので、ご注意ください