【おべんきょ情トラ】身につくロースクール/行政法11/行政処分の無効の要件

ケースブック行政法 (弘文堂ケースブックシリーズ)に掲載された問いを自分なりにアレンジし、解答案を掲げています。

行政処分
最高裁判例は、違法な行政処分を無効とするには、原則としてその違法が重大かつ明白なことを要するが、特段の事情のあるときは、必ずしも違法の明白性の要件は必要としないとしているものと解され」るが、その妥当性について検討せよ*1

 違法な行政処分であれ無効とすることは、当該処分又はそれを基礎に形成された事実状態に対する信頼等が害されることでもある。特に、その違法性が明白でない場合には、当該処分が無効とされることへの予測可能性もないため、信頼保護の要請が強くなる。よって、「違法な行政処分を無効とするには、原則としてその違法が重大かつ明白なことを要する」ことには妥当性があると考えられる。
 しかし、当該処分の違法性が著しく重大で、処分の相手方やその他関係者等の権利利益を大きく侵害するような場合には、その原則では妥当性に欠く。なぜならば、こうした場合には、当該処分を無効とすべき要請が、違法性が明白ではなかったことで形成された信頼を保護する要請を上回ると考えられるし、そもそも著しく重大な違法性が是正できないと法治国原理に反するおそれもある。こうした特段の事情のあるときには、たとえ違法の明白性がなくとも無効とすべきなのである。したがって、「特段の事情のあるときは、必ずしも違法の明白性の要件は必要としない」ことも、また、妥当性があるといえる。

*1:この解答案は、【情トラ】が作成したものであり、その内容については無保証ですので、ご注意ください。