裁量統制に関する個人的メモ

 専門技術的な判断を含んだうえでなされた許認可等につき,第三者がその取消し等を争うというケースに関して,何となく考えたことをメモ。


 いわゆるパブリックコメント(又はそれを発展させた)手続は,行政機関が専門技術的な判断を含む許認可等を行う際において,許認可申請者から提供される一方的な意見・情報のみではなく,許認可等の二面関係には含まれないという意味では第三者であるものの,いわゆる『基本権保護義務』を求めうるという意味では当事者であるもの等からの意見・情報をも考慮したうえで,適切に許認可等の是非を判断するために,非常に重要な事前手続になりうるのではないか。

 そして,この場合においては,「『専門技術的裁量』の司法審査は,『災害の防止上支障がない』ものかどうかを裁判所が改めて見直すものではなく,あくまでも『災害の防止上支障がないと認めた』行政庁の判断過程の適否を審査するもの」(高木光『行政訴訟論』p.378)と,明確に位置づけられることになるのではないか。


 このメモは,次に掲げる論文集のうち,特に第三部第四章を読みつつ,私的な関心から何となく考えたことに過ぎませんので,あしからず。

行政訴訟論

行政訴訟論