マルチメディアと著作権【桐蔭横浜】

■マルチメディア時代では、大量の情報の流通と改変利用の容易化により、情報のパーソナル化と共有化が進む。その結果、情報の価値が増大し、法的保護の要求が強まるが、強すぎる権利を認めると、逆に情報の流通が阻害され、公共財としての価値が少なくなる。
■この2つの要素の調和を図ることが、著作権法制にとって重要な課題である。今後、情報の製作者が同時にユーザーでもある時代になると予想されるので、両者の調和をとったシステム構築が期待される。
■現行の著作権法は19世紀の社会構造の産物であり、マルチメディア時代に対応することはできない。様々な法改革が必要となるが、だからといって著作権の分野では国際的な調和が必要なので、事実の後追い的な発展にならざるを得ない。
■ただし、法がマルチメディアの発展を阻害しないように、特定の者の既得権化している制度を整理するなどの必要がある。
マルチメディアと著作権 (岩波新書)中山信弘